2012年5月20・21日「歌で結ばれた20時間」
宗門関係の全国の高校生95人が讃歌衆を結成
親鸞聖人のご誕生をお祝いする宗祖降誕会が5月20、21日、本願寺で営まれた。21日には、御影堂で宗門関係学校の生徒らが参拝して、ご門主ご親修のもと宗祖降誕奉讃法要が営まれた。同法要の讃歌衆は宗門関係の各高校の代表で組織され、合唱をリードしている。今年は23校95人で編成された(写真)。その生徒たちの姿を通し、降誕会が若者にとって、あらたにお念仏のみ教えに出遇うご縁となった様子を追った。
1963年に制定されたこの法要は、合唱とオルガン伴奏でつとめられる宗祖降誕会の音楽法要で、2006年からは「浄土真宗を学ぶ若者に本願寺や法要に触れてもらう機縁に」と生徒たちが讃歌衆を務めている。
生徒らは法要前日に本山に集合。結成式で宗門関係学校で組織する龍谷総合学園の宗教教育専門委員会・西村義詮委員長が「宗門校の精神を胸に、美しい心を歌声に乗せてご参拝の皆さんに感動を届けてほしい」と激励。すぐに初めての合同練習に臨んだ。
讃歌衆はソプラノからバスまで4パート。コーラス部や音楽部など経験豊富な生徒から、宗教部や学校行事に関する委員として参加した生徒などさまざまで、初めて声を合わせる緊張や不安から表情をこわばらせる高校生。その生徒たちを指揮者の田末勝志さん(相愛大学講師)がユーモアを交えながら、「失敗することを恐れないで」「ここは信念をもって歌おう」など巧みな指導で心と歌声を一つに、美しいハーモニーにまとめ上げていく。練習とリハーサルは夜間にまで及んだが、熱気は高まるばかりだった(写真左上)。
21日法要本番。北陸高、神戸龍谷高、京都女子高、龍谷大付属平安高、中央仏教学院などの生徒・学生1200人が参拝する中、讃歌衆は、御影堂の外陣中央に整列。整然と姿勢を正し、内陣のご門主や僧侶らと作法を合わせながら、「重誓偈」や「念仏」などを唱和し、御堂中に美しい歌声を響かせた。 控え室に戻った生徒たちは、拍手で解散式を締めくくった。どの顔も高校生らしい朗らかな笑顔で、輝いて見えた。
わずか20時間だけの讃歌衆。しかし、譜面を見つめる真剣な瞳、田末さんの指導に熱心に耳を傾けるまなざし、友人と語り合う笑顔、御真影に届くハーモニー。法要の貴重な経験とともに、生徒たちの心には大きな感動が刻まれた。
●讃歌衆の生徒ら
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今田澪 さん
ジャンケンで負けて入った礼拝委員会の一員として参加したが、こんなにスケールの大きな舞台だとは。初めは少し場違いかなと思ったけど、私が「今、良い感じに歌えたな」と思ったら周りも笑顔でうれしかった。一体感や団結力を感じ、「ご縁」という言葉が浮かんだ。もうこのメンバーで集まることはないと思うと寂しいけど、今日の経験は絶対忘れない。(国府台女子学院3年) |
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窪田一彦 さん
中学時代から合唱部。今回は、テノールでの参加が決まってから、部活とは別に自主練習を2カ月積んできた。ほかの学校のメンバーと歌えることを楽しみにしてきたので、とても楽しかった。本願寺の行事は初めてで緊張したけど、すごく新鮮。普段のステージ以上の感動を味わえた。(龍谷富山2年) |
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岩岡拓也 さん
昨年、大遠忌で「ミュージカルしんらんさま」を上演し、親鸞聖人を演じたが、仏さまの教えが自分の身に届いた時どんな気持ちになるのか、と想像しながら役作りをしたことを思い出した。仏教讃歌は歌としても素晴らしいが、御堂の中で声を合わせて歌った時、歌詞の深みを感じた。みんなが一生懸命、声を出している中で一緒に歌い、合唱の良さや音楽の魅力を実感した。(広島音楽高3年) |
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松田有紀子 さん
学校の聖歌隊にも所属しているが、今回は宗教部の同級生4人で参加した。本願寺での練習で「楽譜はみ教えが書かれたお経本。合唱は『歌』ではなく『法要のおつとめ』」と教わり、身が引き締まった。宗教も合唱も仲間や相手との関わりが大切。社会や人生を学ぶ貴重な経験になったことを来年参加する後輩に伝えたい。(筑紫女学園高3年) |
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●讃歌衆参加高校…▽北海道=旭川龍谷、札幌龍谷、双葉▽千葉=国府台女子学院▽富山=龍谷富山、高岡龍谷▽石川=尾山台▽福井=北陸▽岐阜=岐阜聖徳学園▽京都=京都女子、龍谷大付属平安▽大阪=相愛▽兵庫=神戸龍谷、須磨ノ浦女子▽岡山=岡山龍谷▽広島=崇徳、広島音楽、進徳女子▽福岡=敬愛、筑紫女学園▽大分=東九州龍谷▽佐賀=龍谷、敬徳
(本願寺新報 6月1日号より転載) |